【野菜】ほうれんそうの育て方
作型について
一般地であれば年中収穫することもできるほうれんそうですが、品種によって栽培可能な作型が大きく異なります。栽培したい作型に対応可能な品種を選ぶことが重要です。また、初冬~早春の間はトンネルやハウスで保温を、梅雨時期は雨よけを、 夏の間は遮光資材による暑さ対策をする必要があります。初心者の方は資材が不要で栽培がしやすい秋まきがおすすめです。次項からは各作型全般に共通する育て方について記載しています。 それぞれの作型における注意点は最後の項目に記載しています。畑づくり・タネまき
酸性土壌に弱いので石灰資材はしっかり施します。タネまきの2週間以上前に1㎡あたり苦土石灰150~200gを、その1週間後に堆肥2~3kg、化成肥料150~200gを施して良く混ぜておきます。ほうれんそうは直根性で根が良く広がります。また、湿害にも弱く、特に過湿で立ち枯れを起こしやすい品目です。しっかり深耕して高畝にします。幅60cmの畝を立て、条間20~30cmで2条のスジまきにします。タネとタネの間隔は1~2cm程度とします。発芽を揃えることでその後の生育も均一になります。ポイントは①まき溝を平らにすること、
②覆土の厚さも均一にしてしっかり鎮圧すること、
③最初にたっぷり水を与えること、
ほうれんそうの発芽適温は15~20℃です。特に高温で発芽不良を起こしやすく、25℃以上では発芽率が低下します。
暑さ・乾燥が心配な初夏~初秋まきでは乾燥しないよう適宜水やりする他、不織布や遮光ネットで地表面の温度が高くならないように管理します。
まき溝の深さを通常よりやや深めの2cm程度にすると乾燥しにくく、タネ周りの温度も高くなりにくくなります。乾燥はもちろんよくありませんが、過湿でも発芽しにくくなります。土質によっては地表面が乾いているように見えてもタネ周りは湿っていることもあるので水の与えすぎのないように注意しましょう。
なお、過湿・高温条件下では立枯病も多発します。発芽直後から萎凋・枯死するようなら立枯病の可能性が考えられます。土壌病害なので土壌消毒が理想的ですが、手間がかかり家庭菜園では簡単には行えません。
タネまき前~直後に「タチガレン粉剤」「タチガレン液剤」などの薬剤で対処するか、栽培する畑を変える、タネまき後~生育初期に過湿にならないように水分管理に注意するようにしましょう。 初心者の方には発芽しやすいようにプライミング加工した品種やネーキッド処理(外皮を剥く処理)をした品種がおすすめです。
間引き・管理
発芽が揃った後、本葉1~2枚、3~4枚、5~6枚の頃に少しずつ間引きます。隣り合う株の葉と葉が触れ合うくらいになるように間引いていきます。秋まきでは最終株間5cm程度、春や夏まきで株張りの良い品種をまく場合は8cm程度にします。株間が狭いと葉色が薄くなり、広すぎると株が開き収穫しにくくなります。追肥は2回目の間引きの際に化成肥料を1㎡あたり30g施します。ただし、生育の早い春まき~初秋まきまでは基本的に追肥は不要です。 葉色が薄くなるようなら液肥などを与えるようにします。
収穫
大きくなったものから収穫します。草丈20~25cmのものを根ごと抜き取るか株元から刈り取って収穫します。
各作型の注意点
【秋まき】
最も栽培しやすい作型です。残暑が残っているようならタネまき後に暑さ対策が必要です。
【晩秋~早春まき】
寒さ対策が必要な作型で低温でも生育する品種を選ぶ必要があります。品種や地域にもよりますが、 年末~3月頃まではビニールトンネルで保温するか、ハウス栽培をする必要があります。 トンネルやハウスを締め切っていると高温・多湿になる場合は随時換気する必要があります。
【春~初夏まき】
ほうれんそうは長日・高温下で花が咲きやすくなります。 その為、この作型では極晩抽性品種を選ぶ必要があります。 また、生育期が梅雨と重なるので根腐れや病気が発生しやすく、ビニールトンネルによる雨よけが必です。 生育期後半は温度が高い分、生育も早いので早めの収穫を心がけます。
【夏まき】
タネまき後~生育期間中の高温・乾燥対策が必須です。遮光資材を使用したトンネル栽培を行い、小まめにかん水をします。
~寒締めほうれんそうの栽培方法~
寒さにしっかり当てることでほうれんそうの甘味・旨味を増す栽培方法です。平均気温が20℃以下になる頃にタネまきをし、収穫する前に5℃以下の低温に10日以上当ててから収穫します。株間を10cm以上とれば寒さに当たることで株がロゼット状に広がり、葉に縮みも出て見ためもユニークになります(寒縮み栽培)。 なお、温暖地での寒縮み栽培は不向きです。キーワード:法蓮草/ほうれんそう/ホウレンソウ
(シーズン外などで販売していない場合もございます)